からだのひみつ

  • 作成:2001/8/12 最終更新:2009/05/14
  • 著者:藤木輝美
  • 初版:昭和47年11月25日(旧版)
  • 1992年4月23日(新訂版)

◆ストーリー、構成

 この本は各章ごとに、人間のからだの臓器や器官について紹介する 短編の漫画(出演するキャラは共通)となっています。

○ほねと筋肉

 ヒトちゃん、ダイちゃん、ロングさん、ノンチ、ミミちゃん、ボロ(ミミちゃんの飼い犬)の6人は キャンプに出かける。キャンプの準備中に人間の骨の一部を掘り起こしてしまい驚くロングさん達。 そこへ幽霊の声が…  "たのむ たのむ おれのほねをさがして集めてくれ〜〜〜"
 幽霊の頼みを聞いて、皆であたりを掘り返して骨をさがす一行。全ての骨が集まる。 幽霊は集まった骨を見て さらに「骨をとうげの一本松の根元に人間の形にして埋めてほしい」と頼む。 ヒトちゃん達は言われたとおりにするが、幽霊は「骨が足りないぞお〜」と言う。 (ヒトちゃんが骨の一部をこっそり貰っていこうとしていたのだ)
 骨を元通りに再現して埋めなおす一行。そこに幽霊が現れ、自分の正体を明かす。 "「わしはゆうれいじゃない!」"


(「からだのひみつ」(旧版)、学習研究社藤木輝美、29ページ)

じいさんが幽霊に化けていたのであった。ヒトちゃん達はじいさんを許してあげた。
(なお、この章のみ新訂版ではそっくり別の話に変わっている。詳しくは「旧版と新訂版の相違点」参照)

○消化器

 巨人と小人たちとが戦っているテレビ(特撮番組か?)を見ているヒトちゃん。その小人達が なぜかヒトちゃんの前に現れ、ヒトちゃんを巨人と勘違いして襲ってくる。ダイちゃんの家に逃げる ヒトちゃんを追ってきた小人達は、ダイちゃんに目標を変更し、時限爆弾をかかえて口から ダイちゃんのおなかに入ってしまう。
 病院に行くが、小人が入ったことを信じてもらえず、医者に追い返されるダイちゃん達。 ダイちゃんの家に戻ったところ、ダイちゃんの口から小人達が現れ、 「とんだまちがいをしました。あなたは、きょ人ではありませんでした。」 「いまごろなんだコノオ〜〜」 小人達はダイちゃんの体内に再び入り、時限爆弾を探す。食道,胃,小腸,……と見ていくが爆弾は見つからない。そして直腸のあたりでようやく爆弾を発見するが*1,時間切れで爆発……と思いきや,ヒトちゃんの夢だったというオチ(夢オチかい)

○ こきゅう器

 いたずらっ子大好きのオールゴはかせがヒトちゃんたちを研究所に招待し、人間の肺を 再現した人工呼吸器官を人間型ロボットに取りつけて見せようとした矢先、お客さんが来る。はかせはお客さんを迎えにいくためその場を離れる。
「さわるなといわれると、かえってさわりたくなるね。」
「そうね!!」(←↑悪ガキ)
 博士のいないすきにロボットをいじっているうちに、人工呼吸器官を破裂させてしまうという話。

○じゅんかん器

 野球のグランドの場所取りをめぐって、横暴なガキ大将の たけしと争うヒトちゃん達。 ヒトちゃんは たけしに決闘を申し込む。意気込むヒトちゃん。このときヒトちゃんの体内では、 血液中の赤血球(赤君)、白血球(白君)、血しょう(水君)、血小板(チビ君)の4人(?)が はりきっていた。(赤君らは,いずれも擬人化されている)
 ヒトちゃんは決闘に向かうが、たけしは卑怯にも仲間を連れており、ヒトちゃんは逃げるが 捕まってフクロに…(この過程で、ヒトちゃんの体内で呼吸した酸素を全身に運び、かわりに 二酸化炭素を肺に運ぶ赤君や、汗を出したりする水君の様子が描かれる)
 ヒトちゃんはロングさんに助けられ、いったん家で休んだ後(ここでは、腸から吸収された栄養が 水君によって全身に運ばれる様子が同時進行で紹介される)たけしを探しに町へ。  一人でいるたけしを見つけ、戦った末に足に怪我しながらも勝利するヒトちゃん。 (この後、怪我の出血をチビ君が止める様子と、後に傷口から入ってきたばい菌を 白君たちが自分の身を犠牲にして倒す様子が描かれる。チビ君と白血球君らの戦いに涙……)

○じんぞう

 こきゅう器の章と同様、オールゴはかせのいない隙にヒトちゃんたちが、人工の腎臓や膀胱を搭載した ロボットをいじり倒して(水を多量に飲ませたりする…)また爆発させてしまう。


(「からだのひみつ」(新訂版)、学習研究社藤木輝美、96ページ)

 この章の最後では、ロボットにむりやり水を飲ませた結果、ロボットの膀胱が破裂して ヒトちゃんらが小便まみれに…(藤木先生、学習まんがでス○ト○は…(w)

○のうと神経

 オールゴはかせ作の、人工の脳や神経を持ったロボットをまたもや勝手にいじって…(上の章と殆ど同じ結末に)

○目と耳

 近所に出たどろぼうを追い掛け回す最中に、ヒトちゃんらは目や耳の働きについて学ぶ。

○鼻

 動物園(?)から脱走したゴリラを、ゴリラと同じ匂いのする ぼろきれで探そうとする話。

○皮ふ

 海水浴場で、皮膚の感覚の違い(あたたかいプールから中くらいの温度のプールに入った場合と その逆の場合ではどう感じるかなど)から、他人と喧嘩するヒトちゃん達。

○毛とつめ

 外人が落したダイヤモンドを拾ったヒトちゃんが、その外人の髪の毛や爪の特徴から ダイヤモンドを落した本物の外人を探す。

特徴

 雑誌「COMIC GON!!」2号掲載のひみつシリーズ特集記事で、旧版ひみつシリーズ売上の トップだったのがこの「からだのひみつ」でした。今読みなおすと、確かにそれもうなずけます。
 この漫画の上手い点は、

  • ヒトちゃん達一人一人のキャラが立っていること、
  • 各章の漫画(特に前半の「ほねと筋肉」「じゅんかん器」等)が それぞれ独立したストーリー構成で、どの話もオリジナリティがあり、起承転結も しっかりしていて「読める」こと(ただ、オールゴはかせの研究所で ヒトちゃんたちが博士のいない隙にロボットをいじくる際に、どの章も必ず お客さんが来て博士が席をはずすんですが、 いくらなんでもそんなに都合のよいタイミングで何度もお客さんが 来るのはヘンだ…と 子どもの頃から思ってました)
  • からだの中の細胞などを擬人化していて,親しみやすいこと

などでしょうか。 この本も、子どもの頃何度も読み返してました。

旧版と新訂版の相違点(らしいもの)

 前述の通り、「ほねと筋肉」の章のみ、新訂版では内容が以下のように変わっています。
 夏休みの宿題でほねと筋肉のつながりを調べるのに苦労しているヒトちゃんたちを、 自分の田舎に連れていってハイキングするロングさん。しかし帰る途中道に迷い、 (実は道に迷ったのはロングさんの策略)荒れた山寺に泊まる一行。 そこでグニャグニャ魔人(ミイラ男のような容貌)に出会い、バラバラの自分の骨を元通りにするように 脅される。その後、いろいろゴタゴタがあるが、なんとか明け方までに骨を元通りに。 そして、グニャグニャ魔人が自分の正体を明かす。 (実はロングさんの友人のお坊さんが変装していて、ほねや筋肉のつながりについて勉強させるために ヒトちゃんたちをわざと脅していた…そんな大掛かりなことしなくても普通に教えたれや、ロングさん)
 この他にも、まめちしき等がいくつか変更されています。

*1:つまり,けつの穴から入っていけばすぐ見つかったんだよなこれ(下品)