恐竜のひみつ(旧版)

恐竜のひみつ(旧版)

  • 作成:2002/8/19 最終更新:2003/08/21
  • 著者:川崎てつお
  • 初版:昭和47年11月25日

ストーリー、構成

一、恐竜はかいじゅうのなかまか

 神田はかせの家(研究所?)で怪獣映画を見ている だいすけ(主人公?)、よしぼう (だいすけの弟)、ルミ子(神田はかせの孫)、ニャーゴ(はかせのうちのネコ)達。 怪獣の話から恐竜に話題が移り、(ここで爬虫類の性質等の説明が入る)だいすけ 達は恐竜に興味を持つ。
 神田はかせ「よし、それじゃみんなを恐竜の世界へつれていってあげよう。」
 だいすけ「そんなことできるわけないよ。今、いないんだから。」
 はかせ「いやいやそのためのきかいを作ってあるんじゃ。」
「タイムマシン」で過去に行けると言うはかせ。子ども達は はしゃぐが、
 はかせ「きょうはもうおそい。出かけるのは、あしたじゃ。」
翌日過去にむかうことにする。しかし、待ちきれないよしぼうがタイムマシンに しのび込み、誤ってタイムマシンを動かしてしまい、ニャーゴとともに過去に行ってしまう。  だいすけ、ルミ子は案内役のロボット エースマンとともに過去に向かう。

二、恐竜の世界を探検

 ジュラ紀に行ったよしぼうとニャーゴを探すだいすけ、ルミ子、エースマン。(なぜか 最初 ジュラ紀よりも更に過去のペルム紀にタイムワープしている)はかせからの連絡で ジュラ紀に向かい、アロザウルスに襲われていたよしぼう達を助ける。合流した5人は ジュラ紀白亜紀を探検し、様々な種類の恐竜の姿や生態に驚いたり感心したりする。

三、恐竜とそのなかま

 よしぼうの「恐竜っていままで見てきただけ。」という疑問に答えて、エースマンが 他の恐竜(および始祖鳥などの鳥類の先祖や、爬虫類など)を子ども達に見せる。 この章は漫画ではなく図鑑のような形式。

四、恐竜はなぜほろびた

 火山の噴石に当たったエースマンが故障し慌てる子ども達。(原因ははかせが背中の ねじを閉め忘れたため……w)
とりあえずエースマンを修理し(←背中を縛っただけですが) 白亜紀の終わりに向かう一行。気候の変化やえさの不足により滅び行く恐竜と、 恐竜の変わりに台頭していく哺乳類の先祖(デルタデリジウム)を見る。エースマンに 促され、子ども達は現在に戻る。

五、恐竜があらわれるまで

 現在に戻った子ども達は、はかせから地球の誕生の歴史や生命の進化について 学ぶ。(海に現れた魚類の先祖→魚類→両生類→爬虫類→恐竜・・・ってやつですね)

六、なぜ恐竜のことがわかったか

 更にはかせから恐竜の化石について学ぶ子ども達。(化石の中で最初に研究された、 イグアノドンの歯の化石のエピソードが紹介されている)

七、恐竜なんでも質問箱

 恐竜に関するさまざまな質問(一番大きい恐竜はなんですか?など)に、はかせ達が 答える。

特徴

黄金の三角形

 ひみつシリーズの人物構成でよくあるパターンとして,以下のようなものがあります。

  • 「教師役(*1)」 ・・・・ 子ども達に色々な知識を教えたり助言したりする。「〇〇博士」が多い。
  • 「男の子」 ・・・・ どちらかというと直情傾向。ギャグメーカーになることも多い。
  • 「女の子」 ・・・・ 頭がよく、博士に的確な質問・ツッコミを入れたり、男の子のボケに突っ込んだりする役目。

 基本的にこの3人で*1、作者によってはこれに「博士の助手・ロボット等」(この本では エースマンが該当する)や、男の子又は女の子のペット(ニャーゴ)を加えた構成で 話が展開されることが多いのですが、この作品もその一つ*2です。なお、上の「教師役・男の子・女の子」と いうフォーマットについては、この本の前に発行された「宇宙のひみつ」で既に確立されて いますが、「宇宙のひみつ」では教師役が博士ではなく宇宙人のピコとスーパーテレビ でしたので、教師役を 博士にしたのはこの本が初めてでしょう。 (そう言う意味では記念すべき作品と言えます)
 この本も昔読んだのである程度内容は記憶していましたが、 改めて読み返してみて(最近Bookoffで見つけた)懐かしさがこみ上げてきました。  ただ、子どものころは気づかなかったんですが、今読み返して気になったところが ありました。「恐竜がかなり擬人化されている」という所です。

ツッコミどころ

擬人化されまくりの恐竜たち

 第2章「恐竜の世界を探検」の初頭で、ジュラ紀にワープしたよしぼう達の前で アロサウルスとステゴザウルスが戦うんですが、アロサウルスが登場する時 "<「あらっこんなところにごちそうがいたわ。」>"
喋るな!しかも日本語を!  おそらく、あまりリアルに描くと読者が怖がると思って、擬人化して愛嬌を出そうと したのでしょうが、でもやっぱ恐竜が喋っちゃイカンと思うんですが。
(しかもこのアロザウルス、ステゴザウルスに攻撃されて、


(「恐竜のひみつ」(旧版)、 学習研究社、川崎てつお、25ページ)

あんたが先にステゴザウルスに攻撃したんだって。)

 さらに、上のコマの直後で、ステゴザウルスが後ろ足だけで立ってガッツポーズ してるし・・・ステゴザウルスは二足歩行なんてできたのか? この後のエースマンとアロサウルスの戦いも、非常に牧歌的というか、ほのぼの しているというか、(血とかも全然出ません)ジュラシックパークと比較するとイマイチ 迫力に欠けているのは仕方ないのかもしれません。
 なお,新訂版の「恐竜のひみつ」(たかや健二作画)では,恐竜の戦いの描写がめっさ写実化してて 子供が見たらトラウマになりそうな感じなのですが,それは別の機会にレビューしまふ

*1:わしはこの3人のことを「ひみつシリーズ黄金の三角形」)と 勝手に呼んでいます

*2:厳密に言うと男の子キャラが 二人いるから多少違うのかもしれませんが